創世記 13章1-18節
ネゲブ地方から更に、ベテルに向かって旅を続け、ベテルとアイとの間の、以前に天幕を張った所まで来た。そこは、彼が最初に祭壇を築いて、主の御名を呼んだ場所であった。
もしもテストで解答欄がズレていたことに気付いたならば、どこから間違えたのか、さかのぼって確かめます。迷子になった時も、知っている場所にまで戻ることは有効です。しかし『戻る』という選択は、一見無駄な歩みにも思えるため勇気が必要です。聖書の登場人物であるアブラムもまた、人生の歩みの中で前に居た場所に戻ることになりました。
自分の知恵や経験で対処できると思っていたのに、多くの人を傷つけることになってしまった。そのような苦い体験をしたアブラムは、神様に立ち返っていきます。歩んできた道のりを振り返り、以前礼拝をささげた祭壇、神様からみ言葉を受け取った場所にまで帰ってきました。それでも全てが元通りになったわけではありません。祝福の内に財産が増えて、群れが拡大していたからです。一族全員が同じ場所で生活するには、家畜の食糧問題、テントの場所問題で争うようになりました。その結果、家族は二つに別れていくことになりました。アブラムは悲しみのあまり目を落としてしまいます。しかし、神様のみ言葉は祝福の約束であり、うつむいていたアブラムを、再び神様の方向へと立ち上がらせていったのです。
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創世記 12章1-9節
あなたは生まれ故郷/父の家を離れて/わたしが示す地に行きなさい。わたしはあなたを大いなる国民にし/あなたを祝福し、あなたの名を高める/祝福の源となるように。
何歳であったとしても、今まで慣れ親しんだ場所から新しい場所へとチャレンジするには勇気が要ります。引っ越し、クラス替え、一人暮らし、転職、転勤、結婚などもまた、今までの居場所から離れていく出来事でしょう。
本日の物語の主人公であるアブラム(後のアブラハム)は75歳になっていました。後期高齢者です。仕事は成功して財産を蓄えていましたが、体力的な衰えを実感していたことでしょう。そのような中、神様はアブラムに、「私が示す地に行きなさい。祝福の源となるように」と命令し、約束します。アブラムは神様に従って出て行きます。自分の経験や、経済力を頼りにする以上に、神様を頼りにして優先しました。そして旅の途上、確かに守られ導かれ祝福されていったのです。アブラムは、礼拝を通して神様に送り出され、神様と共に出かけて行き、神様から示された場所にたどり着いて礼拝を献げ、神様に立ち返り、再び神様から送り出されていきます。アブラムの歩みは、私達の歩みでもあります。一週間の旅路から「おかえりなさい」、そしてまた「いってらっしゃい」。神様は私たち一人一人を招き、送り出します。あなたの上に、主の祝福が豊かにありますように。
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創世記 4章1-16節
わたしの罪は重すぎて負いきれません。
家族の関係は様々で、一言で表せない複雑さを抱えているのではないでしょうか。時に温かく、時に冷たく。時に近づき、時に反発する。時に仲間になり、時に敵対する。聖書が記している、最初の殺人事件は兄弟間の出来事でした。カイン(意味:得る)は農業、アベル(意味:空っぽ)は牧畜の仕事をします。二人の仲違いは礼拝の場面で起こりました。神様がアベルの献げた肥えた小羊にだけ目を留めたのです。カインも農作物を献げたのに…
聖書が語る罪とは、神様という的から外れること。神様の方向を向かないことです。カインは怒りによって目を伏せて、神様の語り掛けからも耳を閉ざします。そして、あいつさえいなければ、とアベルを打ち殺してしまうのです。そのカインに、神様は裁きを語る。「土地とあなたは呪われるものとなった。」その結果、仕事と住まいが失われました。ようやくカインは「私の罪は重すぎて負いきれません。」と神様に助けを求めて立ち返ります。神様はカインを受け入れ、救うためにしるしを与えます。神様の庇護のもとにある、神様のものだと、しるしは証します。そしてカインはしるしと共に、送り出されていくのです。
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