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執筆者の写真杉本拓哉牧師
使徒言行録 7章44-60節
ステファノは聖霊に満たされ、天を見つめ、神の栄光と神の右に立っておられるイエスとを見て、「天が開いて、人の子が神の右に立っておられるのが見える」と言った。


花材/トクサ・薔薇
花材/トクサ・薔薇

 正義は時に暴走します。大切な場所が奪われ、更なる武力をもって取り返そうとしたのが十字軍でした。周辺諸国を占領した日本を止めるという名目で、原子爆弾は落とされました。自分の正義が大きくなり、その背後で小さくされた他者の声に耳を傾けられなくなる時、命はおびやかされてしまいます。一人ひとりに正義はあり、それらは大切にされるべきものです。しかし、自分の正しさだけを追い求めていくならば、戦争は何度でも起こります。

 2000年前ステファノは、当時の宗教指導者に悔い改めを迫りました。それは、彼らが神の正義を尋ね求めるよりも、自分の正しさに固執していたためです。神に仕え、神を信じている者が、神から遠く離れてしまっていたのです。彼らは神殿での祭儀と、先祖の教えを守ることにこだわり、心も耳も頑なになっていました。ステファノは家族の一人として、赦された罪人の一人として、イエス・キリストを、命の御言葉を語ります。しかし結末は、イエスの時と同様に殺害されてしまいます。それでも共に生きる道は、人の正義の中ではなく、神の正義の中にあります。ステファノは命懸けで、天に居られる神を見つめ、隣人を愛し抜きました。


音声メッセージ


使徒言行録 6章1-15節
「それで、兄弟たち、あなたがたの中から、“霊”と知恵に満ちた評判の良い人を七人選びなさい。彼らにその仕事を任せよう。」

花材/ハイビスカス・ギボウシ・カスミ草・小エビ草
花材/ハイビスカス・ギボウシ・カスミ草・小エビ草

 日本において、全ての人は平等であることが保障されています。しかし約150年前まで身分制度があり、今なおその残滓に苦しめられている人もいます。差別意識は自分よりも上と下を、仲間とそれ以外を分断させます。そして残念ながら差別はどのような理由でも起こり得ます。出身地、人種、言語、職業、性、障碍、病気、被爆等々、自分と他者との違いを受け入れず拒絶していく時、平等ではなくなってしまうのです。

 初代教会の場合、イエスを信じる弟子たちが爆発的に増える中、地元で生まれ育ったグループと他言語を用いるグループとの間で緊張関係が発生しました。そして食事の分配における不平等が問題となります。自分の仲間を優遇し、他の人から搾取していたのです。使徒たちは皆を呼び集めて、全員の課題として分かち合いました。そして痛みを覚えている人達に、全力で寄り添う決心をしたのです。能力でも地位でもなく、聖霊と知恵に満たされた評判の良い人を皆で選び、祈りと共に分配の働きを託しました。大切にしたのは、神様を愛し隣人を愛することです。教会に集う一人ひとりが協力して神と人とに仕えていく中で、主の御言葉と御業は益々広がっていきました。


音声メッセージ

執筆者の写真杉本拓哉牧師
使徒言行録 5章17-42節
「人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません。」

花材/ひまわり・姫ひまわり・ソテツ
花材/ひまわり・姫ひまわり・ソテツ

 妬みという感情があります。これは自分一人が物事に向き合っている時には起こりません。誰かと自分を比較する中で、羨ましく思うことを妬みと言います。妬みを用いて、自らの成長の機会とすることも、相手を貶めるエネルギーとすることもできるでしょう。ユダヤの宗教指導者たちは、この妬みによってイエスを十字架につけました。そして今度は妬みによって使徒たちをも逮捕することになったのです。

 使徒たちは御使いによって牢屋から解き放たれ、「命の言葉を語り伝える」という使命のために派遣されました。そしてなんと二度も逮捕され苦しめられた神殿へと戻り、イエス・キリストの御言葉と御業を分かち合っていったのです。使徒たちは神殿に来た人々と、宗教指導者たちの前で、命の導き手を証言しました。それは聴衆が耳を傾け、方向転換して、命に与るものとなるように願われたからです。

 各々が使命に生きる者とされ、イエスに集中していく時、嫉妬の思いから解放されていくことでしょう。もはや他者と比べる必要もなくなるからです。イエスを頼るとき、そこに確かな土台を見出します。自分を取り囲む状況や、周りの見る目を越えて、主の平和が包み込んでいくのです。


音声メッセージ

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